簡単に概要
Future Houseは[Garage House] [Chicago House] [UK Garage] [Deep House]
という様々なジャンルから影響され、派生したと考えられているハウスミュージックです。
サウンドの特徴としては湿ったメタリックなサウンドに、フューチャーシンセと呼ばれるシンプル且つスタイリッシュなシンセ、弾力のあるドロップが特徴的で、漂うようなリバーブとサイドチェインの効いたリードも特徴的ではないかと考えています。
また、Future Houseの派生ジャンルである、より弾力性の増したFuture Bounceというジャンルも存在しており、Future Houseのグループとして組み込まれています。
更にTranceやGarageなどと融合し、Future TranceやFture Garageと言ったジャンルも誕生しました。
影響されたジャンル
- [Garage House]
1980年~1990年代を代表するダンスミュージックです。
Chicago HouseよりもR&B要素が強くゴスペルを彷彿とさせる女性ボーカルが特徴的です。
弾力性のあるサウンドはFuture Houseのフレームワークのように組み込まれ、Future Houseの原点ともいえるジャンルです。
- [Chicago House]
此方も1980年~1990年代を代表するダンスミュージックです。
厳密には1980年前半から後半にかけてシカゴで作られたハウスミュージックを指すようです。
Garage Houseと共に名を馳せ、当たり前ですが80年代特有のレトロなサウンドを使用される楽曲が多いと感じます。
- [UK Garage]
イギリスで1990年代に流行したハウスミュージックです。
BPMは130とハウスミュージックとしてはBPMが速いジャンルとなっています。
Garage Houseから派生したジャンルですが、ダンスポップや深いベースラインを持ったJungleの特徴に加え、2ステップのリズム持った楽曲が制作され、(2Stepというジャンルに分類される。)後のDubstepやFuture Bassの礎となります。
2000年後半でジャンルとしての人気は落ち込んでしまうものの、2010年代に再び頭角を現し2019年には全英シングルチャートに3位を飾る楽曲が現れるなど、現在でも根強い人気を得ているジャンルと言えます。二つ目は今風のUK Garageになります。
- [Deep House]
1980年代後半から認知されるようになり現在でも人気が根強いEDMの主流ジャンルです。
Future Houseは影響された4つのジャンルの中でDeep Houseが大きく影響されていると考えています。
深くはっきりと聴こえるベースラインとサックスが特徴的で、現在のDeep Houseでは、そのベースラインがリズミカルでドロップに入るとより鮮明に聴こえるようになるのが特徴的だと考えています。
Deep Houseの人気が高く自由度の高いジャンルですが、Deep Houseに関連性の低いハウスミュージックにDeep Houseのタグ付けされることが多々あり、これに異を唱える者が多くその影響によりBrazilian BassやSlap Houseなどと言ったジャンルが分類されました。よくFuture Houseと間違われてしまうジャンルです。
歴史と現在
Future Houseの始まりはフランスのDJであるDJ TchamiがSound Cloudにて自身の曲を区別する為に、全く新しくタグ付けしたことにより始まり、オリヴァー・ヘルデンスを始めとした様々なアーティストがFuture houseを作り、今やポピュラーなハウスミュージックのジャンルとして君臨しています。
Future Houseの始まりの曲と言えるDJ TchamiのPromessesは2013年に制作され、2015年に全英シングルチャート7位にランキングインしており、全英インディペンデントチャートでは1位を飾りました。
Promesessの発表から5ヵ月ほど経った後、オリヴァー・ヘルデンスからGeckoがリリースされ、この楽曲がヒットし更に2014年にはイギリスの歌手であるベッキー・ヒルをボーカルとして起用し、「Gecko-Overdrive」をリリース。これが全英シングルチャートと全英ダンスチャートの両方にて1位のタイトルを飾ることとなり、これによりFuture Houseの知名度が広く知れ渡る事となりました。
2015年にはドン・ディアブロ自身のレーベルであるHEXAGONにてCIDと共にアレックス・アデアの「You Make Me Feel Better」のリミックスをリリース。これが2週間ほどでBeatportで1位となり、2016年にはBeatportにてFuture Houseアーティストオブザイヤーでドン・ディアブロが1位に輝きました。
現在でもFuture Houseを主としたレーベルが設立されており、2020年にはコロナ禍であったにも拘わらず一昨年よりも2倍の楽曲のリリースがあったジャンルでもあります。
コロナ禍で様々なアーティストが自宅待機やライブなどの禁止を余儀なくされた為に、多くの楽曲が作られ、その中でFuture houseも数多く作られたのかもしれません。
主なアーティスト
Future Houseの代表的なアーティストです。
この三人は先駆者でありFuture Houseには欠かせないアーティストです。
ドン・ディアブロに至ってはメロディアス系中心に制作していることもあり、旋律的で聴きやすいと思います。
Future Houseの黎明期ではTchamiとオリヴァー・ヘルデンスの両者の間でFuture Houseの在り方に諍いがありましましたが、直ぐに和解しており、現在の仲は悪くない様子。
ですがオリヴァー・ヘルデンス曰く、「まだ共にスタジオに入れていない。」らしく両者の仲にもどかしさを感じます。
が、2022年6月オリヴァー・ヘルデンスとTchamiのコラボ曲である「LOW」が発表されました。
漸く共にスタジオに立てたということでしょうか?
現在のFuture Houseは下記のアーティストのスタイルが主流となっています。
Tchamiはフランスのアーティストで、Future Houseの創設者として認知されているアーティストです。TchamiのFuture Houseとしての始まりのトラックは「Promesses」でありこのトラックはピーク時には全英チャート7位に達し、全英インディペンデントチャートでは1位に達しました。
2015年には「You Know Like It」のリミックスをリリースすると、We Are Your Frendsという映画で使用され、大きな反響を得ることになりました。
2017年には自身の特徴と異なるサウンドを取り入れた「Adiew」をリリース。
2020年には初のフルアルバムであるYear Zeroをリリースしました。
- Promesses (feat. Kaleem Taylor)
Tchami、Kaleem Taylor
- You Know you Like It – (Tchami Remix)
Aluna George, Tchami
- After Life (feat. Stacy Barthe)
Tchami、Stacy Barthe
- Adieu
Tchami
- Praise (feat.Gunna )
Tchami、Gunna
Oliver Heldensはオランダのアーティストで、Future Houseのパイオニアの一人であり、多くのEDMファンにFuture Houseを認知させたことでも有名です。
特に2014年の「Gecko(Overdrive)」は大きな評価を得ることになり、同年DJMag Top 34位を収め、Spinnin’ Recordsに「Koala」をリリースした後、翌年にはDJ Mag Top 12位を獲得することになります。
2015年には自身のレーベルHeldeep Recordesを立ち上げ、レーベルに所属したアーティストがトゥモローランドを含め、様々な規模の大きなフェスティバルに出演しました。
近年、2018年には「Fire In My Soul」リリースし、ビルボードのダンスクラブソング1位に達し、ダンス/エレクトロニックソングでは18位に達しました。
2019年では「Turn Me On」が全英トップ40チャートで12位を獲得しました。
- Gecko (Overdrive)
オリヴァー・ヘルデンス、Becky Hill
- Last All Night(Koala)[Feat. KStewart]
オリヴァー・ヘルデンス
- Fire In My Soul(Feat. Shungudzo)
オリヴァー・ヘルデンス
- Turn Me On(Feat. Vula)
Riton、オリヴァー・ヘルデンス
- This Groove
オリヴァー・ヘルデンス、Lenno
ドン・ディアブロはオランダのアーティストです。
2015年には自身のレーベルであるHEXAGONで初リリースした「Make Me Feel Better」 のリミックスをCIDと共に制作した後にBeatportランキングにて2週間程留まり、いきなり「ベストニューレーベルオブザイヤー」を受賞。
これ以降ドン・ディアブロスタイルのFuture Houseが始まったと言えます。
2016年~2017年にかけてヨーロッパ横断ツアーで多忙な年を過ごした後、DJMagの2017Highest Future House賞を受賞し、DJ Mag Top100にて総合11位にランクされました。
また、HEXAGONのラジオ番組は35か国以上で放映されており、毎週iTunesポッドキャストセクションでトップ10を維持しており、世界中で何百万人もの聴者を持っています。
2021年現在、最新アルバムであるFOREVERをリリースしています。
- Make Me Feel Better(Don Diablo & CID Remix)
ドン・ディアブロ、CID
- On My Mind
ドン・ディアブロ
- Cutting Shapes
ドン・ディアブロ
- Survive(Feat. Emeli Sandé, Gucci Mane)
ドン・ディアブロ、Emeli Sandé、Gucci Mane
- Bad
ドン・ディアブロ、Zak Abel
ストリーミング
いわゆるサブスク音楽アプリです。
Future Houseと相性が良い為、派生ジャンルであるFuture Bounceも選曲されています。
- レーベルFuture House Musicが提供するプレイリストです。
- レーベルSpinnin’Recordsが提供するプレイリストです。
大体分かる音楽
大体これで分かる音楽(動画)です。
一つ目の動画はFuture House黎明期に作成された為、Tchamiやオリヴァー・ヘルデンスの要素が多く取り入れられています。
二つ目以降の動画は近頃のFuture Houseとなっており、ドン・ディアブロスタイル要素が多めです。
今風な音色をお聴きしたいのであれば右端の動画を再生してください。
主なレーベル
筆者のおすすめ
筆者の個人的におすすめな楽曲をご紹介する欄です。
奮ってお聴きください。
まとめ
Future Houseは今もなお伸び続けているジャンルです。
多くのFuture Houseが作られる過程で多くの派生ジャンルや、影響を与えた新しいジャンルなどが、これからも出てくると考えています。
日本ではあまり馴染のないジャンルですが、この記事によりFuture Houseをより知って頂けるきっかけとなってくれたら幸いです。
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